今回もインベイジョン・ブロック期の友好二色デッキを引き続き紹介していきたいと思います。迫りくるダメージを防ぎつつ、相手のライブラリーアウトを狙う白青のコントロールデッキ、ミルストーリーです!

ミルストーリー
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◇呪文(36)
4 神の怒り/Wrath of God (7ED)
4 石臼/Millstone (7ED)
4 物語の円/Story Circle (MMQ)
4 対抗呪文/Counterspell (MMQ)
2 今わの際/Last Breath (MMQ)
1 誤った指図/Misdirection (MMQ)
4 蓄積した知識/Accumulated Knowledge (NEM)
4 吸収/Absorb (INV)
2 解体の一撃/Dismantling Blow (INV)
4 選択/Opt (INV)
3 嘘か真か/Fact or Fiction (INV)
◇土地(24)
4 アダーカー高原/Adarkar Wastes (7ED)
4 沿岸の塔/Coastal Tower (INV)
8 島/Island (INV)
8 平地/Plains (INV)

 デッキ名の由来は、《石臼/Millstone》と《物語の円/Story Circle》の英語名からで、《物語の円》で各種ダメージを軽減しつつ、《石臼》で相手のライブラリーをゴリゴリと削っていきます。

 今回参考にしたのは、アジア太平洋選手権01で見事準優勝を掴んだ信下淳選手のリストです。この時に決勝戦で戦い、見事優勝を勝ち取ったのは同じ調整仲間だった岡本尋選手で、デッキ構成もほとんど同じミルストーリーでした。両選手の的確なメタゲーム分析とデッキ調整能力が成せたワンツーフィニッシュであり、ちなみに3位は森勝洋選手のネザーゴーですので、日本勢が上位3位までを独占した形となりました。
 構成は、《サーボの網》を抜いて、それぞれ3枚入っている別のカードに変えるなど、若干調整しています。これは
《サーボの網》は露骨な《リシャーダの港》対策のカードであるためですが、それだけ当時猛威を振るっていたということですね。

サーボの網 モノクロ

 さて、このデッキは、メインにはクリーチャーが一切入っていないノンクリーチャーデッキとなっています。私はサイドボードを作っていませんが、元のリストには《マハモティ・ジン》と《獅子将マギータ》が入っており、アグレッシブ・サイドボーディングの戦略を取ることができます。1戦目ではノンクリーチャーデッキのため、相手は除去を腐らせてしまうわけですが、2戦目で相手が有力な除去をサイドアウトさせた裏をかき、こちらはクリーチャーをサイドインするというものです。
 アグレッシブ・サイドボーディングは、相手が知らない場合はもちろん効果が絶大ですが、知っていたとしても裏の裏を読み合うなど2戦目以降がかなり難しくなりますね。

 このデッキの最大の特徴である《物語の円》は、3マナのエンチャントで、場に出るにあたり色を1色選び、(白)払うごとに選ばれた色の発生源1つが与えるダメージをすべて軽減します。それまで基本セットに収録されていた各色の防御円からは1マナ重くなりましたが、場に出るときに色を選べるので汎用性が大きく向上しました。

物語の円

 しかし、(白)マナの要求が思いのほか厳しいことや、ライフを失う系、無色や色が変わるダメージ源には対応できないなどの弱点があります。したがって、当時の《キマイラ象》や《カヴーのカメレオン》の評価の高さには、ミルストーリーがTier1だったことも影響していたと思います。

 そして、メインデッキ唯一の勝ち手段は《石臼》です。(2)マナのアーティファクトで、(2)とタップで対象のプレイヤーのライブラリーを2枚墓地に送ります。起動にタップを要求するため1ターンに、このデッキでは複数回起動することが難しく、複数置いてもライブラリーアウトにはやはり時間がかかりますので、長時間相手の攻撃をしのぎ続けなければなりません。しかし、クリーチャーの全体破壊等に自軍が巻き込まれないことなど、ノンクリーチャーであることのメリットも大きいため、条件が揃うとこのデッキのように構築レベルでも活躍することがあります。

石臼

 初出はアンティキティーであり、基本セット第6版・クラシックまでずっと同じイラストでしたが、基本セット第7版で初めて新規イラストとなりました。
 その後、基本セット2014に再録された際にも新規イラストを獲得しましたが、ライブラリー=思考、知識源、頭脳のイメージを取り入れた斬新なものとなっています。
 
 さて、ではこの2枚以外の呪文を見ていきましょう。
 このデッキはパーミッションのような打ち消し呪文の比重を大きくしている形ではなく、除去やドローソースなどバランス良く採用されています。
 打ち消し呪文は、《対抗呪文》4枚、《吸収》4枚の2種類で計8枚入っています。
 《吸収》は、以前紹介した《蝕み》と対をなす確定カウンターで、(青)(青)(白)で3点のライフ回復がついてくるため、1枚かつ同コストで《対抗呪文》と《治癒の軟膏》の役割を担います。

吸収

 色は違いますが、同じブーンズで比較すると、《対抗呪文》と《稲妻》の組み合わせの方が強いだろうと、当初は《蝕み》の方が評価が高かったわけですが、実際にはコントロールデッキにとって、主導権を握る前に数点相手のライフを削ることよりも、少しでもライフを回復して生き延びることの方が重要であるため、次第に評価が逆転していきました。とは言っても、どちらもインベイジョンを代表する名カウンターであることに変わりはありません。
 そして20年近くの時を経て、ラヴニカの献身にて単独で再録を果たしました。当時とはクリーチャーの質も段違いですし、プレインズウォーカーの存在もありますが、同じく白青やバントカラーのコントロールデッキで活躍しています。

 また、基本にして最有力の打ち消し呪文《対抗呪文》も4枚採用しています。前回紹介したネザーゴーと対にしたかったので、こちらもメルカディアン・マスクスのものを採用しました。

対抗呪文

 この2種類の打ち消し呪文は非常に強力ですが、マナ拘束が厳しいのはやはり問題ではありました。ネザーゴーと違い、《物語の円》も《神の怒り》も白マナのダブルシンボルが求められるため、マナ基盤は常に厳しい状況となります。

 除去呪文は、《神の怒り》4枚、《今わの際》2枚、《解体の一撃》2枚の計8枚です。
 クリーチャー全体除去では最強の《神の怒り》は、最速4ターン目で打てて再生も許さないため、たいていのクリーチャーには対処できます。

神の怒り

 以前紹介したパララクス補充では、基本セット第6版・クラシック版でしたが、今回は第7版を採用しています。清浄な光の球に消し飛ばされる様を描いていて、後の次元の混乱にて黒にタイムシフトした《滅び》はこのイラストと対称になるように描かれています。(どちらのイラストもKev Walker氏によるものです。)

 しかし、当時のスタンダードには再生も禁じる《神の怒り》もかいくぐる、《冥界のスピリット》やレベル対策として、調整版《剣を鍬に》こと《今わの際》が採用されています。

今わの際

 2マナのインスタントで、パワーが2以下のクリーチャーを対象としてゲームから取り除くとともにコントローラーに4点回復させます。純粋なカードパワーとしてはあまり高くはないですが、その後2008年のシャドウムーア、2013年のテーロスでそれぞれ再録された時も標的となるクリーチャーが存在し、いずれも構築の場でも見かける活躍をしました。
 しかし、パワーが低いクリーチャー=弱者をいじめるこのカードは白らしくなく、どちらかというと黒の効果っぽいですよね。これは公式でも言及されています

 《解体の一撃》は、1マナ重くなった代わりにキッカーすると2枚引けるようになった《解呪》です。キッカー・コストは3マナなので、計6マナとだいぶ重くなりますが、基本はキッカーなしでプレイして、終盤マナが潤沢に出るようになったらキッカーします。

解体の一撃

 当時のスタンダードは、トップメタであるファイアーズの《ヤヴィマヤの火》や《はじける子嚢》、それから様々なデッキで活躍していた《キマイラ像》など、ターゲットが多くメインから投入されていました。
 スタンダードで使えたのはこの時だけでしたが、まさかのモダンホライゾンで再録され、レアリティもコモンからアンコモンに昇格となりました。

 また、除去呪文ではありませんが、妨害手段として、前回のネザーゴーでも紹介した呪文の対象を変更できるピッチスペル《誤った指図》が1枚挿しされています。手札の青のカードを1枚捨てればマナ・コストを支払うことなく唱えられます。

誤った指図

 しっかりボードコントロールをして戦いが長引かせられたとしても、打ち消されなく、軽減もできないキッカーした《ウルザの激怒》対策のために入っています。

 手札を循環させるドローソースは、《蓄積された知識》と《選択》が4枚ずつ、《嘘か真か》が3枚の計11枚入っています。

 《蓄積された知識》は回数を重ねることが重要ですので、前回のネザーゴーでも4枚積みされていましたね。戦いが長引けば長引くほど、アドバンテージが得られるため、ライブラリーアウトを狙うこのデッキにはとてもマッチしています。

蓄積した知識

 《選択》は、近年何度も収録され、現在のスタンダードの標準的な1マナドローインスタントとなっていますが、意外にもインベイジョンが初出です。そして、その後イクサランまではずっと再録されていませんでした。

選択

 カードを引く前に占術1を行いますが、インベイジョン当時は、「占術」という常磐木キーワードが無かったので、回りくどい書かれ方をしています。
 当時のスタンダード環境では、同じ1マナインスタントとして、《渦巻く知識》と比較されました。《渦巻く知識》はライブラリートップの3枚にアクセスできますが、ライブラリーをシャッフルする手段がなければ、要らないカードを直近の2ターンで引き続けなければならないというデメリットがあります。
 その点、《選択》はアクセスできる枚数は1枚ですが、不要なカードをライブラリーボトムに送れるというメリットがあり、デッキの特性やメタゲームに合わせて選ばれていました。

 《嘘か真か》は、このブログでこれまで何回も登場していますね。ライブラリーの上から5枚も見ることができのは、やはり強力で様々なデッキに入りますね。相手の分け方次第ですが、選ぶのはプレイヤーなので、確実にほしいカードが手に入ります。

嘘か真か

 土地の構成は、平地8枚と島8枚と基本土地16枚と、二色地形を《アダーカー荒原》と《沿岸の塔》が4枚ずつで計24枚となっています。
 一般的な白青コントロールでは、《対抗呪文》などの打ち消し呪文の色拘束が強い関係から、島がやや多い傾向にあるのですが、ミルストーリーは、《物語の円》や《神の怒り》など白マナのダブルシンボルのカードが多いため、丁度半々となっています。
 
 基本土地は、メイン・ブロックであるインベイジョンのもので統一しています

 インベイジョンの平地は、麦でしょうか、稲穂のようにも見えますが
作物が耕作されていますね。ドミナリアのどの地域かは分かりませんが、作物が黄金に照り映えて、とても牧歌的な風景です。

平地1平地2平地3平地4

 また、インベイジョンの島は、前回の記事でも紹介しましたが、南国の島や、深く澄んだ青空をバックにした色鮮やかな島が多く、ファイレクシアによる苛烈な侵攻を感じさせないような明るい雰囲気になっています。

島1島2島3島4

 白
青のダメージランド、《アダーカー荒原》は、以前のパララクス補充で紹介した際は基本セット第6版・クラシック版でしたが、今回は基本セット第7版を採用しています。第7版のイラストは、巨匠John Avon氏によるもので、奥に配置された淡いクリーム色の光源と、青白い氷雪の原野が見事に調和し、静謐な雰囲気の大変美麗なイラストとなっています。
 カエルもこの第7版のイラストが最も好きです!

アダーカー荒原

 二色地形はもう一種類、タップインデュアルランド《沿岸の塔》を採用しています。白青という組み合わせは、色の特性上必然的にコントロール系が多いため、よく採用されていました。フレーバーテキストを見るに、どうやらエローナ大陸のベナリアのようです。ウェザーライト・サーガの主人公、英雄ジェラード・キャパシェンを輩出したキャパシェン家が建てた塔であり、朝日の柔らかな光が入り混じる空とは対照的な大きな雲影が印象的なイラストですね。

沿岸の塔

 このように、打ち消しと除去、ドローサポート呪文をバランスよく採用したミルストーリーは、特に《物語の円》や《神の怒り》といったボードコントロールに秀でたカードによって、当時のトップメタであったファイアーズにも優位に立つことができました。
 しかし、《静態の宝珠》を採用したロックデッキであるブルーオーブが登場すると、スピードの極めて遅いミルストーリーは分が悪く、三竦み状態にありました。

 以上、閲覧いただきましてありがとうございます。また、次のデッキ紹介でお会いしましょう。