またシリーズ化しまして、インベイジョン・ブロック期の友好二色デッキを引き続き紹介していきたいと思います。序盤のブロッカー兼フィニッシャーとして何度でもよみがえる《冥界のスピリット》を採用した青黒のパーミッションデッキ、ネザーゴーです!

ネザーゴー
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◇クリーチャー(4)
1 マハモティ・ジン/Mahamoti Djinn (7ED)
3 冥界のスピリット/Nether Spirit (MMQ)
◇呪文(32)
2 強迫/Duress (7ED)
3 血の復讐/Vendetta (MMQ)
4 対抗呪文/Counterspell (MMQ)
1 誤った指図/Misdirection (MMQ)
4 蓄積した知識/Accumulated Knowledge (NEM)
2 目くらまし/Daze (NEM)
3 撃退/Foil (PCY)
4 嘘か真か/Fact or Fiction (INV)
4 蝕み/Undermine (INV)
2 はね返り/Recoil (INV)
2 サーボの命令/Tsabo's Decree (INV)
1 テフェリーの反応/Teferi's Response (INV)
◇土地(24)
4 地底の大河/Underground River (7ED)
4 塩の湿地/Salt Marsh (INV)
9 島/Island (INV)
7 沼/Swamp (INV)

 デッキ名の由来は、《冥界のスピリット/Nether Spirit》を使用したドロー・ゴーという意味ですが、そもそものドロー・ゴーというのは、自分のターンでは、カードを引いて(あと土地も置いて)、それ以外に特段何もしないデッキのことです。つまり、主に相手のターンに動くようなパーミッションデッキを当時こう呼びました。

 参考にしたのは、「モリカツ」こと森勝洋選手が使用し、アジア太平洋選手権01で3位に入賞したリストです。構成は、土地が微妙に違っていますが、スペルはすべて同じとなっております。

 クリーチャーは《冥界のスピリット》3枚と《マハモティ・ジン》1枚の計4枚しか入っていません。

 このパーミッションデッキ最大の特徴である《冥界のスピリット》は、3マナ2/2とサイズは小さく、また回避能力もない小型クリーチャーですが、自分のアップキープの開始時に、墓地に他のクリーチャーが何もない場合、場に戻ってきます。

冥界のスピリット

 つまり、これ1枚しかなければ何度墓地に行っても、何のコストの支払いもなく戻ってきてくれるため、ひたすらチャンプブロックすることで、パーミッションデッキが辛い序盤をしのぐことができます。そして、相手の呪文をさばき続けて何も出来なくなったら攻撃に転じ、フィニッシャーとなることもできます。
 また、最初に唱えて場に出さずとも、墓地に落としておけば勝手に0マナで場に出ますので、例えば初手でこのカードがあれば、後攻を選択し、土地を場に出さないことによって手札をわざと8枚にし、クリンナップ・ステップで墓地に落とせば、2ターン目には土地も何もないのに2/2のクリーチャーが場に出ているという不思議な状況が作り出せます笑
 ただし、《冥界のスピリット》が2体墓地に落ちてしまうと、互いにそれ自身とは別のクリーチャーであるため、どちらも戻ってこなくなってしまいますので注意が必要です。(そうならないように相手によってはゲームから取り除けるよう、森選手はサイドボードに《死体焼却》を採用していますね。
 ちなみに、2019年発売のモダンホライズンで実に20年ぶりの再録を果たしました。レアリティもレアから下げられることもなく、新規イラストでの再録でした。

冥界のスピリット2

 個人的には、メルカディアン・マスクス版の不気味なナマケモノのような(木の上にいるからです)イラストがすごく好きですが笑

 そして、1枚挿しの《マハモティ・ジン》は、6マナ5/6で飛行持ちと強力なクリーチャーです。飛行以外に特別能力は持ちませんが、当時ではコスト・パフォーマンスがとても優れているうえにデメリットもないため、頼れるフィニッシャーです。第5版で基本セット落ちしていたことから、第7版は久しぶりの再録でした。

マハモティ・ジン

 さて、ではクリーチャー以外の呪文を見ていきましょう。
 パーミッションデッキの主役である打ち消し呪文は、《対抗呪文》4枚、《蝕み》4枚、《目くらまし》2枚、《撃退》3枚、《テフェリーの反応》1枚の5種類で計14枚とデッキの約4分の1を占めています。
 
 まず、すべての打ち消し呪文の祖にして青カードの代表的存在である《対抗呪文》です。

対抗呪文

 青2マナでどんな強力な呪文も無効化してしまうので、このカードに泣かされたプレイヤーも、逆に助けられたプレイヤーも、どちらもたくさんいることでしょう。島2枚立てておけば、強力なブラフになりました。
 リミテッド・エディションから基本セット第7版まで欠かすことなく収録され続けたため、特殊セットのも含めると非常に多くのイラストがあることで有名です。今回は、当時のスタンダードの構成を考慮し、メルカディアン・マスクスのものを採用しました。

 同じく4枚採用されている確定カウンター《蝕み》は、(青)(青)(黒)で打ち消した呪文のコントローラーの3点ライフロスがついてきます。色拘束は厳しいですが、(黒)1マナ増えただけで1枚で《対抗呪文》と《稲妻》の役割を担う強力なカードです。

蝕み

 対となる3点ライフゲインの《吸収》と並んで、高額レアでした。(ただし、わずかなライフロスより自身の延命につながる《吸収》の方が評価は高かったです。)

 また、この時代はピッチスペルの打ち消し呪文も充実していました。
 《目くらまし》は、相手が(1)支払わないかぎり打ち消す不確定カウンターであるため、普通に使うと1マナ重い《魔力の乱れ》ですが、島を1枚手札に戻せばマナの支払いなしで唱えることができます。

目くらまし

 島1枚は決して小さくないテンポロスですが、相手のマナ基盤が揃っていない序盤に重要なカードをフルタップで唱えてきたり、マナ拘束系のデッキで使うととても大きな強力です。エターナル環境でも使われており、ネメシスで初登場した際はコモンでしたが、エターナルマスターズではアンコモンに昇格されるとともに新規イラストでの収録となりました。

 一方、同じピッチスペルの打ち消し呪文である《撃退》は確定カウンターであり、その分条件もだいぶ厳しくなっています。普通に使うと4マナ、ピッチスペルで打つと島1枚とさらにカード1枚を捨てることになります。つまり、《撃退》本体も合わせて1対3交換をすることになります。

撃退

 よく古の最強の打ち消し呪文の1つである《Force of Will》と比較されますが、あちらはマナ・コストは5マナと1マナ重いですが、ピッチコストはライフ1点と青のカード1枚とかなり調整された結果だということが分かります。実際、英語名《撃退/Foil》は、《Force of Will》の略語にもなっていることから意識的に作られたカードだと言えます。
 とは言え、《目くらまし》で戻した島や、墓地に落としたい《冥界のスピリット》もありますので、まったく使い勝手が悪いわけではありません。

 最後は特殊な打ち消し呪文、《テフェリーの反応》です。ドミナリア発売以降、スタンダードで大活躍し続けているテフェリーですが(基本セット2021もテフェリーにフューチャーしたセットですしね。)、これは露骨な《リシャーダの港》対策カードとなっています。
 自身がコントロールする土地を対象とする呪文か能力を対象として、それを打ち消したうえにそのパーマネントを破壊し、さらにカードを2枚引きます。

テフェリーの反応

 土地破壊呪文にも使えますが、それ以上に相手の《リシャーダの港》の能力起動に対応すると、《リシャーダの港》を破壊してカードを2枚ドローできますので、3対1交換とびっくりするほどアドバンテージが得られます。はまったときは非常に強力なので1枚挿しされていますが、活躍しなさそうな相手ならピッチコストとしてディスカードしちゃってもいいですね。

 打ち消し呪文以外にも、相手を妨害する呪文がたくさん入っています。
 前のマシーンヘッドの記事でも登場した《強迫》や《血の復讐》といった1マナの優良呪文はこのデッキでも活躍しています。
 1マナ手札破壊呪文の《強迫》は、たった1マナで相手の手札を見て、クリーチャーと土地以外のカードを1枚選んで捨てさせることができます。たいていの状況で腐ることはまずありませんし、相手の手札を確認できることも大きなメリットですよね。

強迫

 クリーチャーが選べなくても、打ち消してしまえば良いのでパーミッションデッキではまったく問題ありません。

 《血の復讐》は1マナのクリーチャー除去です。再生を禁じる点とインスタントである点は評価が高いです。黒以外のクリーチャーしか対象に取れないことと、そのタフネス分のライフを失うデメリットがありますが、基本的には打ち消しをかいくぐって場に出てしまったクリーチャーの対処となりますので、デメリットが薄くなるクリーチャーに使えるよう考えて打ち消しをしていきたいところですね。

血の復讐
 
 2枚入っている《サーボの命令》は、部族デッキ対策となります。6マナと少し重いですが、選んだクリーチャー・タイプを相手の場と手札から一掃します。当時は今ほど部族デッキは活躍しておらずほとんどがローグ扱いだったと思いますが、唯一強力だったレベルデッキに強烈に刺さりました。しかし、それ以外でも打ち消されないクリーチャーや被覆持ちなど触りづらいクリーチャーを葬る手段としても使われていました。

サーボの命令

 《はね返り》は、3マナでパーマネント1つを手札に戻した後、カードを1枚捨てさせるインスタントです。テンポとハンドの両面でアドバンテージが取れ、さらにトークンを戻せば疑似除去+手札破壊となります。

はね返り

 また、呪文の対象を変更する《偏向》のピッチスペル版である《誤った指図》が1枚挿しされています。《偏向》と比べると(青)増えた代わりに、手札の青のカードを1枚捨てればマナ・コストを支払うことなく唱えられるので、奇襲性が抜群に向上しています。

誤った指図

 例えばクリーチャーの強化呪文をいただいたり、逆に除去呪文を押し返したりと様々な使い道があります。そして何より、打ち消されなく、場合によっては軽減もできない火力《ウルザの激怒》への青が取れる数少ない対応策でもあります。

 打ち消しや除去等の妨害呪文が大半を占めますが、相手によっては腐ってしまうものもあります。そこで効率よく手札を回すサポートとして2種類のドロー呪文が4枚ずつ入っています。
 まず、MoMaの紹介記事で高価な《直観》の代わりに入れていた《嘘か真か》です。ライブラリーの上から5枚も見ることができ、相手の分け方次第ですが、選ぶのはプレイヤーなので、確実にほしいカードが手に入ります。

嘘か真か

 もう1つは《蓄積された知識》です。2マナで1枚ドローですが、2枚目以降は、墓地の同名のカードの分だけさらに引くことができます。戦いが長引けば長引くほど、アドバンテージが得られるため、このデッキのようなコントロールにとてもマッチしています。

蓄積した知識

 土地の構成は、島9枚と沼7枚と基本土地16枚と、二色地形を《地底の大河》と《塩の湿地》が4枚ずつで計24枚となっています。
 参考にした森選手のリストでは、1枚挿しで《ラースの果て》が入っていました。

ラースの果て モノクロ

 基本土地は、メイン・ブロックであるインベイジョンのもので統一しています

 インベイジョンの島は、色合いがとてもビビッドで今も人気が高いイラストが多いです。また、ヤシの木のような南国の樹木が生えているトロピカルな島や、まるで映画『紅の豚』に出てきたポルコの隠れ家みたいな素敵な島もあり、ファイレクシアによる苛烈な侵攻を感じさせないような明るい雰囲気になっています。

島1島2島3島4

 一方、インベイジョンの沼は、木々が汚染されていそうでとても禍々しい雰囲気に仕上がっています。こちらはファイレクシアの影響とかでこうなってしまっているんでしょうか、とても良質な黒マナが出そうですね!笑

沼1沼2沼3沼4

 青黒のダメージランド、《地底の大河》は基本セット第7版のものにしています。実はそれまでの基本セット第6版・クラシックまでのイラストと初収録されたアイスエイジ版のイラストと計3種類あるわけですが、構図はほぼ同じで、すべて鍾乳洞っぽい地下を河が流れている様子が描かれています。
 しかし、アイスエイジのものは氷河期なので見るからに凍えそうな白さで、
第6版までのイラストは赤土っぽく、そして第7版のイラストはエメラルドグリーンの美しくも密やかな色合いになっていて、すべて個性が出ていて素晴らしいと思います。

地底の大河

 二色地形はもう一種類、タップインデュアルランド《塩の湿地》を採用しています。どういう理由で塩水が流れているのか分かりませんが、葦系の植物が生え、木は塩害で枯れています。他に生物らしきものはまったく見られず、どんよりと暗く雰囲気がまた良いですね。

塩の湿地

 以上見てきたように大量の打ち消し呪文と妨害カードが搭載されたネザーゴーは、コントロール力が非常に高い一方、何を打ち消すかどこまでのダメージなら許容すべきかなどプレイングが難しく、プレイヤーの力量が問われるデッキです。優れた洞察力と素早い判断力を兼ね備え、「ライトニング」と呼ばれた森選手にぴったりのデッキだったわけですね!
 様々な派生形があり、3色目として白や赤をタッチしたデッキも存在しました。また、手札の入れ替えに加えキッカーで手札破壊もできるソーサリー《調査》も採用したデッキはProve-Goと呼ばれました


調査

 以上、閲覧いただきましてありがとうございます。また、次のデッキ紹介でお会いしましょう。