今回のデッキコレクション紹介も、インベイジョン・ブロック期のデッキにしたいと思います。黒と赤の優良レア・カードをたっぷり詰め込み、世界選手権を制したこのデッキ、マシーンヘッドです!

マシーンヘッド
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◇クリーチャー(18)
4 燃え立つ死霊/Blazing Specter (INV)
4 疫病吐き/Plague Spitter (INV)
3 スキジック/Skizzik (INV)
2 墓所の天使/Crypt Angel (INV)
3 ファイレクシアの盾持ち/Phyrexian Scuta (PLS)
2 火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu (PLS)
◇呪文(18)
4 強迫/Duress (7ED)
4 暗黒の儀式/Dark Ritual (MMQ)
3 血の復讐/Vendetta (MMQ)
3 ウルザの激怒/Urza’s Rage (INV)
4 終止/Terminate (PLS)
◇土地(24)
4 硫黄泉/Sulfurous Springs (7ED)
4 アーボーグの火山/Urborg Volcano (INV)
8 山/Mountain (INV)
8 沼/Swamp (INV)

 デッキ名の由来は、《ウルザの激怒》や《ファイレクシアの盾持ち》のイラストに描かれている機械からというものと、イギリスの有名ロックバンド、「ディープ・パープル」(カエルも好きでたまに聞きます笑)のアルバム「Machine Head」に由来するという説があるようです。今の時代だとラヴニカのギルド名から「ラクドス・〇〇」と呼ばれる色の組み合わせです。

 参考にしたのは、世界選手権01で見事優勝したTom van de Logt選手のリストです。構成は、メルカディアン・マスクスのトップレアこと《リシャーダの港》が抜けている以外は同じ、ほぼ完コピデッキとなっております。当時のスタンダードデッキのほぼすべてに4枚積まれていたこの恐ろしい多色デッキ・キラーの土地は、今でこそ1,000円台で購入することができますが、当時は1枚3,000円以上しました。

リシャーダの港 モノクロ

 マスターズ25thにて新規イラストで収録されましたが、カエルはメルカディアン・マスクス版のヨーロッパの港町を想起させる色彩豊かなイラストが大好きです。

 さて、話を戻し、デッキの動きを確認していきたいと思います。
 デッキ中のクリーチャーの点数で見たマナ・コストは3~5マナであり、非常にゆっくりしたデッキという印象を受けるかもしれませんが、実際は黒の強力なマナ加速呪文《暗黒の儀式》により、2ターン目に《燃え立つ死霊》《スキジック》、《ファイレクシアの盾持ち》が飛び出し、《疫病吐き》に至っては最速1ターン目には場に出て圧倒されます。
 実際当時の黒系デッキでは《暗黒の儀式》があるかどうかは、初手のキープ基準のひとつでもありました。

暗黒の儀式

 ちなみに《暗黒の儀式》は、このメルカディアン・マスクスを最後に通常のエキスパンションや基本セットでは再録されず、こうした爆発力のある一時的なマナ加速は次第に赤の得意分野となっていきます。

 まずは、前線を支えるクリーチャー陣を見てみましょう。
 《燃え立つ死霊》は、4マナ2/2で飛行と速攻を持ったスペクターです。《深淵の死霊》の黒マナを1つ赤マナに変えると速攻がついた性能となっており、攻撃が通ると相手は手札を1枚捨てなければならないのは同様です。

燃え立つ死霊

 速攻を持っているため、場に出たターンの攻撃が通れば早々に相手の手札1枚を失わせることができます。その後に除去されたとしてもアドバンテージを得られているわけですから、レアなのも納得の性能でした。《暗黒の儀式》を使って2ターン目に出されれば、本家《惑乱の死霊》の「A定食」さながらの凶悪な動きとなります。
 
 《スキジック》は、前のステロイドの記事でも登場しましたね。4マナ5/3で、トランプルと速攻を持ち、赤1マナのキッカー・コストを支払っていれば引き続き場に残すことができる柔軟性のある「歩く火力」です。

スキジック

 《ファイレクシアの盾持ち》もキッカーを持つ優秀なクリーチャーです。通常では、4マナ3/3と当時の黒のクリーチャーとしては標準的なサイズですが、ライフを3点払うと+2/+2され、5/5にサイズアップされます。

ファイレクシアの盾持ち

 当時の基準では、1回こっきりで、しかもたったライフ3点で4マナ5/5のクリーチャーを出せるのは相当条件の良いスーサイド・クリーチャーであり、《暗黒の儀式》経由で2ターン目に5/5を繰り出せるため、相手によっては非常に優位に立つことができます。月刊コロコロコミックで連載されていた漫画、『デュエルマスターズ』で主人公の最大のライバルである黒城凶死郎が披露しましたね!
 ちなみに、他のキッカー持ちクリーチャーと同じくバウンスされてしまうとせっかく払ったライフ3点が無駄になります…笑

 《疫病吐き》は、3マナ2/2で自身のアップキープの開始時と死亡時に、各クリーチャーとプレイヤーに1点ダメージをばら撒きます。たかが1点と感じるかもしれませんが、《暗黒の儀式》から1ターン目に高速召喚されると、《ラノワールのエルフ》や《極楽鳥》などのマナ・クリーチャーに頼るファイアーズのようなデッキは一気に苦しくなります。苗木トークンを展開する対立デッキやウィニーデッキにも効果は絶大です。

疫病吐き

 
また、2体出すとそれぞれ発動して2点、2体の《疫病吐き》自身が死んで更に2点と、計4点も飛ばすこととなり、大方のクリーチャーを除去することも可能です。

 さて、前のステロイドの記事でも紹介した《火炎舌のカヴー》はこのデッキでも活躍しています。4マナ4/2で、ETB能力としてクリーチャー限定の4点火力を内蔵しているこのクリーチャーは、当時としては異例のコスト・パフォーマンスの高さと4点というダメージの大きさから環境を一変させたクリーチャーでした。

火炎舌のカヴー

 《火炎舌のカヴー》は普通に使っても十分に強いのですが、早々に戦線を離脱させ、《墓所の天使》のETB能力で回収するということもできます。

墓所の天使

 《墓所の天使》は、5マナ3/3飛行、プロテクション(白)と本体はまずまずであり、ETB能力で墓地の青か赤のクリーチャー1体を手札に戻すことができます。《火炎舌のカヴー》や《スキジック》などが回収する際の主な選択肢となります。自身も黒でプロテクション(白)を持っているため、除去耐性もある程度あると言えますし、戦力としても及第点でした。

 このデッキは分類上はビートダウンデッキですが、実際にはコントロール力に非常に優れていました。
 《強迫》や《血の復讐》、《終止》といった1~2マナの低コストかつ優秀なサポート呪文により、相手のハンドやボードに干渉しつつ、クリーチャー陣を展開することができました。
 代表的な1マナ手札破壊呪文として今も知られている《強迫》は、第7版にて再録されました。たった1マナで相手の手札を見て、クリーチャーと土地以外のカードを1枚選んで捨てさせることができます。どんな状況でも腐ることはほとんどありませんが、開始早々に唱えて相手のデッキを確認しつつ、展開のカギとなるカードを落として相手の出鼻を挫く動きが非常に強力です。

強迫

 クリーチャーが選べないことはクリーチャー除去に優れた黒としてはまったく問題なく、むしろ黒が苦手とするアーティファクトやエンチャントをこの時点で排除してしまいましょう。
 《強迫》は今でこそスタンダードの常連カードですが、意外にも初登場はウルザズ・サーガと比較的後発であり第7版で再録された後は、2009年発売の基本セット2010で再録されるまで9年のブランクがありました。それまでの第〇版の呼び方から改められた基本セット2010は、神話レア新規収録カードが導入されるなど中身も大幅に刷新され、目玉となる過去の強力定番カードの再録として《稲妻》や《強迫》が再録され、多くの古参プレイヤーに驚きと喜びを持って迎えられました。(その後《強迫》は定着しましたが、《稲妻》はすぐに再録されなくなりましたね苦笑)

強迫2強迫3

 次に《血の復讐》ですが、1マナのクリーチャー除去です。黒ではないクリーチャー限定ですが、再生を禁じる点とインスタントである点は評価が高いです。また、そのタフネス分のライフを失うデメリットがありますが、すぐに除去することでそのクリーチャー後々生む被害を未然に食い止めることができると考えれば目先の幾らかのライフロスで処理できるのは良いですよね。

血の復讐

 なかなかショッキングなイラストですが、これはスタークの娘であるタカラに化けていたヴォルラスがタカラを始末するシーンです。スタークは、シッセイを誘拐したり色々な所に情報を売ったりと当時からのプレイヤーは全然良い印象がありませんが、実の娘と最後までに再会できなかったのかと思うと、かわいそうではあります。

 最後の《終止》ですが、(黒)(赤)の2マナでクリーチャーの色や種類を問わず破壊し、再生も許さないという頼れる優秀な除去です。思い返すに、それまでは何らかの制限があり、色や種類を問わないのは初だったような気がします。

終止

 イラストは、インベイジョンで登場したドミナリアの上古族ドラゴンの1頭、デアリガズがドミナリアを守るために火山に身を投じたところを描いています。
 
 ちなみに、《血の復讐》は2010年発売のエルドラージ覚醒で、《終止》は2009年発売のアラーラ再誕で、どちらも約10年後の時を経て再録され、どちらも構築レベルで優良な除去として成果を残しています。

血の復讐2終止2

 これらの軽くて優良なサポート呪文に加え、インベイジョンのトップレア、《ウルザの激怒》も3枚入っています。普通に3マナ3点の打ち消されない火力として使うことがほとんどですがコントロールデッキを相手に膠着状態に陥ったときは、キッカー・コストを支払いエンドカードにもなり得ます。

ウルザの激怒

 土地の構成は、とてもシンプルで、沼8枚と山8枚の基本土地16枚と、二色地形を《硫黄泉》と《アーボーグの火山》が4枚ずつで計24枚となっています。
 基本土地は、メイン・ブロックであるインベイジョンのもので統一しています

 インベイジョンの沼は、朽ちた木々に囲まれた薄暗く霧深い湿地帯です。アーボーグなんでしょうか、見るからにホラーとかアンデッドが至る所に潜んでいそうですね笑

沼1沼2沼3沼4

 また、前の記事のステロイドでも紹介しましたが、インベイジョンの山はシヴの火山のようですね。シヴには、ギトゥ族という人間も住んでいますが、ドラゴンが治める国もあります。灼熱のマグマや暗褐色の岩山がとても素敵です

山1山2山3山4

 黒赤のダメージランド、《硫黄泉》は基本セット第7版のものにしています。それまでの基本セット第6版・クラシックまでのイラストやアイスエイジのものとは異なり、よりダークで雰囲気になっていて、温泉感は完全にゼロです笑

硫黄泉

 二色地形はもう一種類、タップインデュアルランド《アーボーグの火山》を採用しています。ドミナリアの黒といえば、アンデッドたちの棲みか「アーボーグ」ですが、昔は《ネビニラルの円盤》で有名なネビニラルが支配していましたが、ボガーダンとの戦いに敗れた後に火山の噴火で壊滅しました。その火山なのでしょうか、ひと際大きい火口から、黒煙を立ち昇らせながら盛大にぐつぐつのマグマが吹き上げていますね。やはり、ドミナリアの黒赤の二色地形に相応しいと思います。

アーボーグの火山

 以上見てきたように黒と赤の優良カードが満載だったマシーンヘッドは、レアの枚数もかなり多く、当時組むのにだいぶお金がかかりました。今では《リシャーダの港》さえ入れなければ、本当に2,000~3,000円もあれば組めてしまいそうなくらいどのカードも安くなりました。
 
優良クリーチャーを高速で展開できたうえに現在でも通用するレベルの高性能呪文でサポートし、高いボードコントロール力を持っていたマシーンヘッドは、今でいうところのグッドスタッフのような形のビートダウンデッキですね。
 ちなみに、選んだ
マナ・コストのカードを場と手札から根こそぎ墓地に送り込む《虚空》をメインにした黒赤のコントロールデッキ、「Void」と構成カードの多くが重複していますが、挙動はまったく異なるのが面白いところですね。

 以上、閲覧いただきましてありがとうございます。また、次のデッキ紹介でお会いしましょう。