今回のデッキコレクション紹介は、また昔懐かしの旧枠時代に戻りたいと思います。ウルザ・ブロックとマスクス・ブロックでは、常にメタの中心にあった強力なコンボデッキであるこちらです!
 大量のエンチャントをリアニメイト&クリーチャー化して場を制圧するコンボデッキ、パララクス補充!

パララクス補充
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デッキレシピ
◇呪文(36)
2 神の怒り/Wrath of God (6ED)
2 対抗呪文/Counterspell (6ED)
4 調律/Attunement (USG)
4 大あわての捜索/Frantic Search (ULG)
4 誤算/Miscalculation (ULG)
4 補充/Replenish (UDS)
4 オパール色の輝き/Opalescence (UDS)
4 パララクスの潮流/Parallax Tide (NEM)
4 パララクスの波/Parallax Wave (NEM)
2 退去の印章/Seal of Removal (NEM)
2 浄化の印章/Seal of Cleansing (NEM)
◇土地(24)
4 アダーカー荒原/Adarkar Wastes (6ED)
10 平地/Plains (USG)
10 島/Island (USG)

 デッキ名は、パララクス系エンチャントとエンドカード《補充》を合わせたものです。
 パララクスとは、ファイレクシアがドミナリアの侵略を目的として創り出した人工次元「ラース」で起こる事象のことで、物質が溶けて分散するエネルギー現象です。パララクスは、まばゆい輝きと波で周囲を飲み込み、飲み込まれた物はこまかい油滴のようにバラバラになって漂い、そして消えていってしまうのです。
 ネメシスで登場したこの事象は、パララクス・パーマネントとしてカード化され、すべて「消散」というキーワード能力を持っていて、不気味な不安定さが表現しています。消散持ちはいずれ消えてしまいますが、その分マナ・コストに対して、強力な効果である場合が多いですね。

 《補充》は、4マナのソーサリーで、自分の墓地にあるすべてのエンチャント・カードを場に戻す豪快なカードです。

補充

 場に戻す恩恵を受けられるのは自分だけなので、狙ってデッキを構築すれば、大きなアドバンテージにつながります。前述のパララクス・パーマネントは、消散カウンターを失い、自然に墓地にいきますので、相性抜群というわけです。

 そして、《補充》のコンボの相方は、自身も含めすべてのエンチャントをクリーチャー化する《オパール色の輝き》です。

オパール色の輝き

 このコンボは色が同じとかマナ・コスト域が近いとか関係なく実は《補充》1枚しか唱える必要がないのが非常に強力です。理由は後ほど。

 では、デッキの基本的な動きを確認していきましょう。
 まず、このデッキで実はとても大事な役割を果たしているキーカードは、4枚投入されている《調律》なんです。
 
調律

 手札に戻すとカードを3枚引き、その後カードを4枚捨てる3マナのエンチャントで、ライブラリーを掘り進め、コンボ成立に必要なカードを調達するのに役立ちます。繰り返し使えますが、本来はアドバンテージの面でどんどん損をしていってしまうのですが、このデッキは後の《補充》による大量リアニメイトに向けて墓地にたくさんエンチャントを落とす必要があるため、問題ないわけです。また、これ自身もエンチャントであることから、まさに一石三鳥の活躍をします。

 同じくライブラリーを掘り進め、コンボ成立を促すのが、同じく4枚採用されている《大あわての捜索》です。

大あわての捜索

 2枚引いて2枚捨てるフリースペルであり、エクステンデッドで禁止、その後のレガシーでも引き続き禁止、そして本当になぜなのか不明ですがまさかのコモンですので、パウパーでも禁止と、禁止祭りな凶悪なスペルです。

 そして、コンボ成立まではコントロール寄りの動きをしますので、《対抗呪文》や《マナ漏出》といった各種打消しで相手の動きを妨害します。

対抗呪文誤算

 《対抗呪文》が2枚で《誤算》が4枚なのは、色拘束が薄いため色事故回避が目的です。
 また、全部エンチャントにしようと、一時《軽快なリフレイン》を入れていたこともありましたが、打ち消し呪文の最大の武器は奇襲性なのに、見えたままの打ち消しは相手に動きの計算に入れられるだけで、あまり強くないと感じたためすべて抜きました。

軽快なリフレイン モノクロ

 また、打ち消しをかいくぐった厄介なエンチャントやアーティファクトを除去できるように、《浄化の印章》と《退去の印章》をそれぞれ2枚ずつ入れてあります。こちらもエンチャントですので、相手に刺さらなければ刺さらないで、そのまま場に出しっぱなしにしておいても後でクリーチャー化して戦力になってくれます。

浄化の印章退去の印章

 そして、相手の妨害には《パララクスの波》と《パララクスの潮流》の2種類のパララクス系エンチャントが強烈な効果を発揮します。

パララクスの波パララクスの潮流

 どちらも4マナのエンチャントで消散5、消散カウンターを1つ取り除くごとに《パララクスの波》はクリーチャーを《パララクスの潮流》は土地を取り除きます。ただしこの効果は永続的ではなく(永続したら強すぎますね笑)、消散カウンターがなくなり、墓地に置かれたら取り除かれたパーマネントたちは返ってきます。(後述しますが、実は永続追放の裏技があります笑)
 とはいえ、2~3のクリーチャーや土地を数ターン抑えられるだけでも十分強力です。また、それぞれ4枚ずつ入っていますので、やっと解放されたと思ったら第二第三の《パララクスの波》や《パララクスの潮流》が飛んでくるということもよくあります。

 また、相手がクリーチャー主体のアグロ系のデッキで防ぎきれない場合は、皆さんご存じの最強全体除去《神の怒り》で流します。当時は破壊不能なんて存在していませんでしたから、再生も許さない全体除去で生き残る方法はほとんどなかったように思います。

神の怒り

 そうこうしながら十分に墓地も肥え、キーカードも揃ったら、手札に打ち消し呪文を構えながらエンドカード《補充》を打つと墓地に溜まっていたたくさんのエンチャントが再び場に戻ります。
 その中に、《オパール色の輝き》があれば、すべてのエンチャントが、そのパワーとタフネスが自身の点数で見たマナ・コストに等しいクリーチャーとなりますので、あとは翌ターンにフルアタックして決めます。

 その間に逆転される可能性は想像以上に低いです。なぜかというと、戻ってきたエンチャントはクリーチャー化されていますが、当然その元々の効果を持っていますので、複数枚の《パララクスの波》と《パララクスの潮流》によって残るクリーチャーや土地も取り除かれ、相手の場はほとんど更地になってしまうというわけです。
 したがって、実際に通さなければならないのは《補充》1枚のみであり、コンボデッキでありながら抜群の安定性も備えています。
 
 土地については、至ってシンプルで、平地10枚と島10枚の基本土地20枚と、白青のダメージランドの《アダーカー荒原》が4枚入っています。

島1島2島3島4

 基本土地は、キーカードが多く収録されたウルザズ・サーガのもので統一しています。サーガの島の美しさは以前MoMaの記事でも言及しましたが、平地もまた大変美しいです。リミテッド・エディションから参加し、デュアルランドを4種、ONSのフェッチランド4種、RAVのショックランド10種すべてを手掛けるRob Alexander氏の名作です。

平地1平地2平地3平地4

 橙に染まった雲を背景に空中に浮遊している平原は、なんとも幻想的で印象的な様相です。カエルは数あるエキスパンションの平地のなかでも最も好きな作品です。どうも、プレインズウォーカー、セラが創った次元「セラの領土」のようだなと個人的には推察していますがどうなんでしょうね。
 「セラの領土」は、果てしない天空と雲に島や大陸が浮遊し、次元全体が日の昇りきらない永遠の夜明けのような陽光にあふれ、一面黄金色に染まっているそうです。プレインチェイズの次元カード《セラの聖所》を見るに、かなり近い光景です。

セラの聖所

 実に美しい理想郷のような世界ですね。ちなみに、この次元カード《セラの
聖所》の奥に見えるのは、ウルザズ・サーガの伝説の土地、《セラの聖域》ですね。

 《アダーカー荒原》は、当時のスタンダード・リーガルを考慮し、基本セット第6版・クラシックのものにしています。

アダーカー荒原

 さて、以上見てきたとおり、圧倒的制圧力を誇るパララクス補充は、スタンダードで大活躍しましたが、高額レアがたくさん入っているため、当時は組むのに非常にお金がかかったそうです。現在《補充》は1枚2,000円くらいしますね!カエルは10年以上前に600円台で購入していました。その他のカードは今も比較的安価で手に入りそうですので、ぜひ興味がある方は組んでみてください。

 その後、その強力さ故に《補充》はエクステンデッドで禁止され、移行後のレガシーでも引き続き禁止されていましたが、2007年6月に禁止が解除されて話題になりましたね。
 また、《パララクスの波》と《パララクスの潮流》も、パーマネントが追放されるのに合わせて自身を除去してしまえば、スタックの解決順からパーマネントを永久的に追放することも可能でした。特に、《パララクスの波》は《オパール色の輝き》で自身がクリーチャー化されていれば、自分自身を取り除くことができるうえ、またカウンターが5個乗った状態で戦場に戻っきてしまいます。つまり、クリーチャーをほぼ恒久的に除去したり、何度も場に出したりできるようになってしまっていました。
 これは本来運営が本来意図していなかった挙動であることから、パワー・エラッタが出されてしまい、そうした挙動はできなくなり、また「《パララクスの波》以外の」という文言が入ってしまいました。ところが、今はエラッタも解除され、オラクルも元通りになっています。
 しかし、墓地対策がかなりシビアなレガシー環境では、現在パララクス補充のような形のデッキは活躍できておらず、《補充》がエンチャントレスに1、2枚挿されている程度となっています。フォーマットはどこであれ、いつかまた同じようなデッキが出てくると面白くて良いなとカエルは密かに思っています。

 以上、閲覧いただきましてありがとうございます。また、次のデッキ紹介でお会いしましょう。